レッド・メモリアル Episode09 第1章



『タレス公国』《プロタゴラス郊外》《オクタゴン住宅地》
γ0080年4月10日
7:42A.M.



 ファラデー将軍の自宅には、リーが思っていたよりも早く辿り着く事が出来た。ファラデー将軍
はまだ起きたばかりの姿をしており、家族と朝食を摂っている真っ最中だったようだ。
「一体何事かね?」
 リー達軍の部隊が到着すると、ファラデー将軍は玄関口に立つなり、苛立ったような声でそう
言ってきた。
 だがリー達は必死である。今まさにここに『キル・ボマー』がやって来るかもしれないのだ。リ
ー達からしてみれば気が気で無かった。
「ファラデー将軍。あなたのお命に危険が及んでいます。すぐにあなたを保護します。御同行を
お願いします」
「避難しろと言う事か?家族も一緒にか?」
 と、ファラデー将軍はリーに尋ねた。
「あなたとご家族はそれぞれ別の場所に避難していただきます。ご家族に危害が及ばないた
めです。ご理解ください」
 リーはファラデー将軍に手早く説明する。リーとしては彼には早く避難して欲しい。さらに大切
な事もある。
「避難すると言うのなら持って行きたいものがある。肌身離さず持っていなければならないもの
だ。それを取りに行くから待っていろ」
 ファラデー将軍はそのように言って、一旦自宅の中に戻って行った。
 リーはファラデー将軍の言う、肌身離さず持っていなければならないものについて、大体の見
当をつけていた。
 やがてファラデー将軍はスーツケースを持って戻ってきた。ジュラルミンでできているのだろう
そのケースは物々しい印象で、まるで金庫のような姿を見せている。
「あなたの御命が狙われている可能性があります。ファラデー将軍。現在、軍は総力を挙げて
あなたを保護しようとしています」
 リーはファラデー将軍を軍用の装甲車に招き入れながら言った。ファラデー将軍の家の周り
にはすでに物々しい姿の軍の部隊員がやってきており、戦場のような様相を見せていた。
 ファラデー将軍やその家族は周囲で起こっている出来事に、戸惑いを隠せていない。
「何だ?一体どうしたというのだ?説明したまえ」
 と、ファラデー将軍は言ってくる。
 だが、リーはすかさず答えた。
「今朝、メリル将軍、テイラー将軍が襲われ、二人とも殺害されました。お二人とあなたは、『エ
ンサイクロペディア計画』というものに従事されているのだとか」
 そのようにリーが言うと、ファラデー将軍は足を止めて彼を振り向いた。
「何故、その名前をお前が知っている?」
 ファラデー将軍が言ってくる。彼は軍の装甲車に乗る手前で足を止めていた。
「軍の記録にありました。ファラデー将軍、あなたと、マティソン将軍、テイラー将軍、さらにはメ
リル将軍が、その計画にアクセスしていたという記録がありました。計画のページにはトップペ
ージまでしかアクセスできず、我々は計画が何についての計画なのかは知りません」
 ファラデー将軍は黙ったままリーの方を向いたままだ。彼のその表情からして、リー達が機密
に触れてしまったのだろうと言う事を彼は直感した。
「お急ぎ下さい。すぐにも軍の本部へとあなたをお連れします」
 ファラデー将軍が何も言わないので、リーは彼をせかした。
「ああ、分かった」
 ファラデー将軍の後にリーが乗り込み、すぐに装甲車は発車した。



「ファラデー将軍。あなた達が計画なさってた『エンサイクロペディア計画』について、少しでも情
報を頂ければと思います」
 狭い装甲車の中でリーはファラデー将軍に尋ねていた。
 ファラデー将軍は慣れない装甲車車内で居心地が悪そうにしながらも、手元にあるスーツケ
ースを大切そうに持っている。
 そのケースの中に何が入っているのか、リーは将軍の表情と照らし合わせながら伺ってい
た。
 やがてファラデー将軍は話し始めた。
「私が、《プロタゴラス空軍基地》兵器管理部門の総括だと言う事は君も知っているだろう?ト
ルーマン少佐?」
「はい。もちろんです」
 リーははっきりとした口調で答えた。
「『エンサイクロペディア計画』というのは、私の部門にかかわる事だ。それ以上は言う事は出
来ん。機密を漏らすわけにはいかないのでな」
 と、ファラデー将軍は言うだけだった。
「ですが、あなたの御命がかかっています。同じ計画に携わっていた、2人の将軍が殺害され
た以上」
「ともかく。ここで君に話すわけにはいかんのだ。君の上官はゴードン将軍だろう?彼になら話
す。それで構わないだろう」
 リーの言葉を遮るかのようにしてファラデー将軍は言ってきた。
 確かに彼の言うとおりである。今、リーと将軍の周囲には護衛の部隊員が装甲車内に詰めて
おり、彼らにも機密が漏れてしまう事になる。
 だが、リーは、
「そのスーツケースの中に、もしかしたら、『エンサイクロペディア計画』に関する何かが収めら
れているのでは? テイラー将軍が襲われた自宅からは、金庫が丸ごと盗まれていたと言いま
す。もしやあなた方は」
「ああその通りだ」
 ファラデー将軍はリーの言葉を遮ってそう言った。
「このスーツケースの中には、『エンサイクロペディア計画』に関してのデータを収めたチップが
入っている。私が言えるのはそこまでだ」
 ファラデー将軍はそこまで言って会話を終えようとしたが、リーはそこで彼との会話を終わら
せるつもりはなかった。
「『エンサイクロペディア計画』とは、テロリストがあなたの命を脅かしてまで手に入れたい。それ
ほどの計画なのですか?」
 と、リーは言ったものの、ファラデー将軍は何も答えようとはしない。
「もし、御命が狙われているのならば、我々はあなたの安全の為にも、計画が何であるかをす
ぐにでも知る必要があります」
「だから言ったように、新兵器開発に関する計画だ。詳しい事はゴードン将軍に話す。それでい
いだろう?」
 しかしリーは引き下がらなかった。
「あなたに護衛するのはゴードン将軍ではなく、この私です。テロリストに狙われているのは、あ
なたの命自身ではなく、おそらく、今あなたがスーツケースに入れているものでしょう。それを守
る必要がある」
「ああ、そうか。だが、具体的にどのような新兵器開発かを言う事は出来ないな。それに、この
一つのデータチップだけでは役に立たない」
 スーツケースを見せつけるようにしてファラデー将軍は言った。
「と、申しますと?」
「私と、テイラー将軍、メリル将軍、そしてマティソン将軍は、それぞれ別々のチップを持ってい
る。4つはそれぞれ断片になっていて、軍本部のページにアクセスする鍵にもなっているのだ。
断片は一つ一つでは意味を成さない。
 私達4人がそろって初めてデータにアクセスすることができる」
 ファラデー将軍がそう言った事で、リーの顔にはまた別の考えが現れたというサインが浮か
んだ。
「ですが、敵のテロリストはすでに2人の将軍を襲いました。と言う事は、テロリスト側にはすで
に2つのデータチップが渡ってしまっていると言う事になる…」
「安心しろ…。2つのデータチップが渡っただけでは、本部への鍵にはならん。必ず4つ揃わな
ければ機能しないものなのだ」
 ファラデー将軍はリーとは目線を外してそのように言った。
「本部のデータに、何が隠されているのですか?教えていただければ、テロリストが何を狙って
いるのかも分かるはずです」
 だが、リーは引き下がらない。彼は目線を外すファラデー将軍をじっと見つめ、その心の中へ
と入り込もうとさえしそうだった。
「データだけではない。隠されているのは」
 揺れる装甲車の中でファラデー将軍はゆっくりと答えていた。
「と、申しますと?」
「私は兵器の管理部門の総括だ。私の元には、君達軍人でも知らないような新兵器の情報
屋、実際に製造された目録が次々に流れ込んでくる。それを管理するのが私の役目だ」
「では、『エンサイクロペディア計画』とは、具体的には何なのですか?」
 そこでファラデー将軍はリーの方を向いた。今度はしっかりと目線を合わせてリーに言ってく
る。
「君達もまだ知るまい。想像もつかないような兵器が、《プロタゴラス空軍基地》の地下格納庫
に眠っている。
 『エンサイクロペディア計画』は、そんな兵器の管理計画だ」
「具体的にどのような兵器が眠っているのです?」
 リーもしっかりとファラデー将軍と目線を合わせて尋ねた。
「さあな?それは答えられん。ただ一つ言えるのは、とてもテロリストの手に負えるような兵器で
はないと言う事だけだ」
「ですが、現に狙われているのですよ。我々は、更に『ジュール連邦』の『チェルノ財団』という慈
善団体、国内の『グリーン・カバー』とテロリストとの関係をも掴んでいます。
 もしや、その『チェルノ財団』『グリーン・カバー』が何らかの関係をしている可能性がありま
す」
 リーがそこまで言った所で、ファラデー将軍の顔色が変わった。
「『グリーン・カバー』だと?ううむ…」
 彼は考えるそぶりをして見せる。
「『グリーン・カバー』は兵器開発の軍需産業の最大手です。もしかしたら『エンサイクロペディア
計画』と何かしらの関係があるのではないでしょうか?『グリーン・カバー』がテロリストを使い、
あなた方の計画を狙っているのでは?」
 リーは更に迫り、ファラデー将軍に迫る。
「それが一体、テロとどう関係あると言うのだ?まさか、この兵器を使ってテロをするとでも言う
のか?」
 とファラデー将軍は言った。彼は自分の持っているスーツケースをもう一度確認するかのよう
に見る。
「可能性はあります。全力を持ってあなた方を保護」
 リーがそう言いかけた時だった。突然、走行車の外側から爆発音が響き渡り、まるで地震で
も起きたかのように装甲車の車内は揺れ動いた。
 装甲車は激しく揺さぶられ、ファラデー将軍が手に持ったスーツケースも車内に投げ出され
る。
「何だ!何が起こった!」
 ファラデー将軍が叫んだ。彼は座席から放り出されそうになっていたが、護衛の兵士によって
守られる。
「『キル・ボマー』だ。奴が襲ってきた」
 リーが叫び、装甲車内の兵士達に注意を促した。



 『キル・ボマー』は、自らが住宅地の道路の真中に立ち、迫ってきた車を次々と爆破してい
た。
 その車の大半が軍用のジープであり、彼にかかれば一台の車を破壊するのも造作ない。だ
が、装甲車だけは違った。
 『キル・ボマー』の爆発の『能力』を持ってしても、おそらくファラデー将軍が乗っていると思わ
れる装甲車は破壊できなかった。
 こんな事だったら、ファラデー将軍を自宅で襲うべきだったが、軍の護衛がやってくるまでに3
人もの将軍を手にかけるのは、破壊活動になれた彼でも難しい事だった。だが、今度は『キ
ル・ボマー』にも策があった。
 彼自身が張った策では無かったが、あの方の援護は何よりも効果を見せてくれる。そして、
意味のある事でもあった。
 『キル・ボマー』が軍のトラックや装甲車に奇襲をかけた後、護衛に当たっていた軍の兵士達
は次々とトラックやら装甲車から降りてきて、『キル・ボマー』にマシンガンを向けてきていた。
 だが、『キル・ボマー』は恐れの感情を感じなかった。
 姿を見せた兵士達に向けて、一発のロケット砲が発射され、それが着弾。何人もの兵士達が
吹き飛ばされた。
 突如、住宅を舞台にして激しい銃撃戦が展開される。軍の兵士達に『キル・ボマー』と共に奇
襲を仕掛けたのは、あの方が送り込んだ私設部隊だった。
 私設部隊とはいえ、長年地下に潜行してきて、しかも『グリーン・カバー』から支援された武器
もあるのだ。何も恐れる事は無い。
 むしろ奇襲をかけられた兵士達の方が動揺し、何をしたら良いのか分からない状態であるよ
うだった。
 応戦する兵士達に向けては、完全武装の私設部隊の兵士達がマシンガンを用いて応戦し、
激しい銃撃音と共にあっという間に打ち倒していく。
 兵士達は問題では無かった。だが、問題になったのは装甲車だった。
 ファラデー将軍が装甲車の中で保護されていると言う事は、『キル・ボマー』にも察しがつい
た。
 まるで守るかのように護衛されていた装甲車だったから、その中に護衛されるべき人物がい
ると言う事は察しが付く。
 『キル・ボマー』の背後からやってきた二人の私設部隊の隊員が、立て続けにロケット砲を発
射し、装甲車にダメージを与えた。
 だが、装甲車が傾くだけで、まったく持ってダメージを与えられた様子は無かった。
「MRAP-Xタイプの装甲車だ。ロケット砲はまったく持って役に立たないと言える」
 『キル・ボマー』の背後からやってきた兵士の一人が言った。
「ただ、所詮は車である事に変わりはない。運転席に装甲車を開く機能があるから、それを使
えばいい」
「そうか、じゃあ、行動すればいい」
 と、『キル・ボマー』は言い、彼は装甲車の運転席へと近付いて行こうとする。二人の兵士達
が、『キル・ボマー』に従い、装甲車へと向かう。
 装甲車の運転席にいた兵士はとっくに倒されており、『キル・ボマー』は、何の感情も見せず
に運転席から兵士を引きずり出し、運転席に座る。
 そして、自分が持っていた携帯端末に従い、あるスイッチを押そうとした。それは後部の装甲
車のロックを解除するもので、リー達のいる装甲された、トラックで言えば荷台の部分を解放す
るものだ。
「おい、ロックが開かねえぞ。内側からもかけられていると出ている」
 『キル・ボマー』は何度もスイッチを押してそう尋ねた。
「何だと。内側からもロックをかけやがった。これはもう内側から開かせるしかねえぞ」
 と、『キル・ボマー』と一緒についてきた男が言った。
「どうするんだ?この装甲車じゃあ、オレの爆破でもとても破壊する事はできねえぜ」
 『キル・ボマー』は装甲車の運転席と内部を隔てている鉄板を叩きながら言った。
「いずれ応援も来るだろう。早くあれを手に入れないといけないぜ」
「まあ、まて。このあの方からもらった、軍のデータがある。内側から緊急ロックをかけられた時
は、この暗証番号を入力すれば開く。何らかの回路故障で間違ってロックがかかっちまった時
の対処法だ」
 男は『キル・ボマー』とは別の携帯端末を見せ、『キル・ボマー』はそれに従って数値を入力し
た。



「内側からロックをかけましたので、これでもう外から開かれる事はないでしょう」
 リーは、ファラデー将軍を落ち着かせるためにそう言った。だが、ファラデー将軍はとても慌
てている様相だ。今にもこの装甲車から逃げ出してしまいそうなくらいに。
「だが、このまま我々がどこかに連れていかれたらどうする?」
「この装甲車を開くには、核兵器でも使わない限りは無理です」
 リーが言った。しかし、ファラデー将軍はそれでもまだ不安なようだ。外からはまだ銃声が聞
こえてくる。『キル・ボマー』の単独ではなく、すでに《プロタゴラス》内には、多くのテロリストが潜
んでいたようだ。
 しかも、生半可な装備ではない。まるで軍の一個中隊に襲撃されているかのようである。
「もし、何かあったら」
 ファラデー将軍が外の様子を伺うリーに言いかける。
「このスーツケースを、ゴードン将軍の元へと届けてくれ。頼む」
 と言い、ジュラルミンで覆われた重厚なケースをリーの元へと差し出した。
「私の任務はあなたの護衛もあります。何かありましたら、私はあなたをお守りしなければなり
ません」
 スーツケースは受け取ったが、リーはファラデー将軍にそう言うのだった。
「もしもの時のためだ。私より、君の方が」
 ファラデー将軍がそう言いかけた時だった、突然、装甲車内に音が響き渡り、後部扉で電子
ロックが外れる音が響く。
「何だと、しまった」
 リーは叫んだ。
「一体どうしたというのだ?」
 ファラデー将軍が言ってくる。
「電子ロックが外されました。内側からかけた電子ロックは、暗証番号が無ければ開く事が出
来ないのに!」
「何故開いたのだ?暗証番号だと!」
 ファラデー将軍は立ちあがって言い放った。
「ファラデー将軍をお守りしろ。何してでも死守する!」
 リーは装甲車内にいる護衛の兵士達に言い放ち、自分も銃を装甲車の出口に向ける。
「何故、ロックが外されたのだ?この中にいれば安全なはずだろう!」
「いいから、将軍は下がっていてください。奴らが電子ロックの暗証番号を知っていた。それだ
けの事です」
 リーはファラデー将軍を言い伏せ、彼を護衛の兵士達の背後へと座らせた。
「奴らはただのテロリストじゃあないんです。おそらくもっと組織化された存在。何しろあの『グリ
ーン・カバー』も関わっていたんですからね。おそらく、電子ロックの暗証番号はそこから漏れ
たんでしょう」
「何とか、逃げる方法は無いのか?私の命よりも大切な情報が、そのスーツケースの中に入っ
ている。君にはそれを持って逃げ、ゴードン将軍に渡してほしい」
 まるで覚悟を決めたかのようなファラデー将軍の口調。
 リーは、一瞬ためらった。自分のファラデー将軍に対しての任務を思い出し、次にしようとして
いる行動が適切なものであるかどうかを判断しようとする。
「敵の目的は、ファラデー将軍。あなたではなく、このスーツケースの中身。と言う事は、私がこ
れを持って奴らを引きつけていれば、あなたは安全。か」
 独り言のようにリーは言ったが、それはファラデー将軍や、一緒に行動していた彼の護衛達
にも聞こえていた。
「扉が開いた瞬間をついて、私は脱出する。お前達は、ファラデー将軍をお守りしろ。何に替え
てもな」
 リーは指示を出し、スーツケースを左手にしっかりと持ち、右手ではしっかりと銃を握り締め
る。
 ただ、力はこめ過ぎないほどに。緊張の中でも自分を落ちつけようとする。
 装甲車の防弾性、防爆性に優れた扉の電子ロックは開け放たれ、開こうと思えば開く事がで
きる。
 敵は警戒しながら迫ってきている事をリーは知った。だが、自分の『能力』については知って
いるだろうか?
 このテロリストたちには、自分の『能力』については知られていない。
 装甲車の外から迫ってくるテロリストよりも早く、リーは装甲車の扉を開け放った。すかさず銃
を外へと突き出し、視界を把握する。
 テロリストたちは、内側から開け放たれる事を想定していたようだったが、突然の動作はリー
の方が速かった。
 彼は、素早く外にいる2人のテロリストに銃弾を撃ち込んだ。
 彼らはマシンガンを持っていたが、リーは素早く銃弾を撃ち込んで、彼らを打ち倒した。次い
で迫ってくるテロリストたちもリーに向かってマシンガンを向けてきた。
 リーは素早く行動した。テロリストのマシンガンの銃弾から守るため、ファラデー将軍の護衛
についている兵士達が、装甲車の車内から応戦する。
 リーはその隙を突いて、周囲で燃え上がっている軍のジープの隙間を通って住宅地の中へと
のがれようとする。
 だがリーの行動よりも早く姿を見せる者があった。
 リー達の乗っていた装甲車の運転席にいた『キル・ボマー』が素早くリーの傍に寄ってくる。
 リーはその男に向かって銃口を向けた。
 だが、その直後『キル・ボマー』の体からはオレンジ色の光が放出された。それが、彼の『能
力』なのだといち早く察知したリーは、自らの『能力』をも発動させようとするが、それよりも早
く、彼の体は背後へと吹き飛ばされた。
 爆発の炎と衝撃が彼の体に襲いかかって来たのだ。

Next→
2



トップへ
トップへ
戻る
戻る