コスモス・システムズ Episode02 第2章



「ヒットしました!」
 対応に追われていた、警備室で、一人の情報技官が声を上げた。
「何だ、どうした?」
 すかさずアーサーが彼の元へと向かう。
「データの侵入がありました。軍のデータベースに検索をかけています。無線通信によるもの
で、場所は基地内から」
 その情報技官の前の光学画面には、基地の一角に赤いポイントが示され、また、何が検索
されているのかが表示されている。
 それは、北村梓の夫、ティッド・シモンズと、アリアのデータだった。今、どこに身柄があるの
かが表示されている。
 誰が検索をしているのか、そして何を求めているのか、基地内からの通信とあらば。アーサ
ーはすぐに、何者がいるかを理解した。彼は光学画面の侵入地点を指さした。
「北村梓だ。ここにいる。無線通信をして、夫と娘の居場所を探そうとしている。恐らく、共に脱
出するためだ」
 アーサーは、すぐに彼らを保護している者達へと連絡を取ろうとした。
「たったひとりで、ここまでの侵入ができるでしょうか?」
 そう情報技官はアーサーに言ってくる。
「何者かが手引きしている。基地に侵入と“干渉”しているのは、その何者かで、今検索をかけ
ているのは北村梓だ。ああ、取調室か?私だ。すぐにティッド・シモンズと、アリア・シモンズの
警備を強化しろ。北村梓が、そっちに向かっている。あと、侵入に注意しろ」
 そう連絡したアーサー。すぐに返事は返ってきた。
「了解!」
 しかし彼は自分の頭を抑えて考える。様々な事が立て続けに起こっているが、これが意味す
るものを彼は考えようとした。
「いかがしましたか?」
 情報技官がそうアーサーに尋ねてきた。
「気になる。それに部下にばかり任せておけん。私もそこへと向かう」
 元々は戦地に出向く立場だった、叩き上げ軍人であるアーサーは、このまま傍観者としては
いられなかったのだ。

光学画面から、ふっと赤いポイントが消えた。
「何だ?何が起きた?」
「反応が消えました。これはおそらく、“干渉”かと」
「またか!」
 アーサーは思わず机を叩いていた。

「いたぞ、そこだ!」
「取り押さえろッ!」
 口々に警備兵達は言うのだが、北村梓の姿を見た誰もがその光景を目撃していた。彼女の
姿は、まるでもやに隠されるかのようにふっと消えてしまったのだ。
「何だ?どこにいる?」
「どこへと消えた?」
 兵士達は、梓の姿を見失っていた。

(さっさと、その兵士達を気絶させて、カードキーを抜き取りなさいよ)
 再びヒメコが急かしてきた。
「私はあんたの操り人形じゃあないのよ!」
 梓はそう言い放つ。だが、今、自分を探そうと周囲を見回している兵士の首元、延髄の辺り
に、しっかりと、的のようなものが電子画面によって表示されている。丁寧なことだ。ここを狙っ
て腕を振り下ろせば、この兵士を気絶させられる。
 だが、それをするかどうかの意志は梓自身のものだ。梓が彼に暴力を振るうかどうか、また
は殺害することだって、今の梓の力では可能だろう。
 だが、梓はためらっていた。人に暴力を振るうことなんて、彼女はしたことがない。だが、それ
でも、今は一刻も早く、ティッドとアリアに会いたかった。アリアなど、自分がこんなになって、非
常に不安がっているに違いない。
 ならば、今はこうするしかない。
 梓にとっては心に重いものを乗せるかのような出来事だったが、その出来事は一瞬の間に
終わった。梓の身体は、まるで鈍器のようなものとなっており、兵士の背後からその延髄を一
撃するだけで倒すことができた。
 力なく兵士は気絶する。梓はどうとも言えない表情で、その倒れた兵士を見下ろしているだけ
だった。
 目の前の扉、地図を見れば、ここにアリアがいるという。重要人物の保護室とプレートにあっ
たが、保護というよりもテンキーが取り付けられ、カードキーのスロットまであるその様は、拘束
室のようなものだ。
 内側からは開けることが出来ないのだろう。アリアは果たして今、どんな気持ちでいるという
のか。
 テンキーと、カードキーのスロット。必要なのはカードキー。
 そこに倒れた兵士が持っているはずと、探そうとしたが、
(心配ないわ。梓。そこのロックはこっちで外せる)
 と、ヒメコという少女が言ってきた。ヒメコは今、梓と言った。おそらくはずっと年上であるはず
の自分を呼び捨てにするのか。
 だが今、それどころじゃあない。
 目の前の、カードスロットのランプが緑色に点灯した。これでロックが外れたのだということ
は、梓にも理解できた。すかさずそこの扉を開けた。
「アリア!」
 そのように叫ぶ梓。
 部屋の先、そこにいるのはアリアのはず。
「ママ!」
 そのように椅子から立ち上がって言ってくる少女、それは紛れもない、アリアだった。ここに間
違い無くアリアがいたのだ。
 梓はしっかりと梓を抱きしめた。もう二度と、決して離れないようにと。
「アリア。しっかりしていた?ママはここだからね。もう、決して離れないからね。お家に帰りまし
ょ」
 そのように梓はアリアに言った。
 だが、アリアはそんなことよりも、もっと気になることがあるといった様子で、梓の顔を見上げ
てきた。
「ママ、怪我は大丈夫なの?」
 そのように言ってくるアリア。再会した母に対して、もう少し心配するのかと思ったが、意外と
冷静だった。
 だが梓は思う。元々、そんな性格だ。子供が感動するアニメ映画を見ても涙一つ流さないよ
うな子だ。
「え、ええ、大丈夫よ。色々あるけどね。とにかく家に帰るの。パパも連れてね」
 そう梓はしっかりとアリアの、青緑色の瞳を見て言った。今、自分がどのような力を持ってい
るかわからないから、そっと手を握って。
「うん…」
 そのように言ってくるアリア。この子は何を考えているのだろうと、少し考えたが、今は時間が
ない。すぐにもここに兵士達がやってくるだろう。
「アリア。ママの後ろに隠れていなさい」
 そう梓はアリアに命じた。
 そして、アリアは少し梓の後ろに隠れ、彼女達は行動する事に決めた。

 アーサーは、北村梓達を捕らえるために、最低限の装備をし、エアガンを手にした。エアガン
といっても玩具ではない。それは空気の圧力で発射する、相手にダーツのようなものを飛ばす
事ができる。弾速は遅いが、麻酔のダーツを飛ばせる。
 北村梓を殺害するつもりはない。彼女は非常に興味深い。敵に渡るわけにも行かなければ、
最も、彼女の肉体を殺すことができるのか?
 少なくとも彼女は地雷を受けても、少なくとも大怪我こそ負ったが生存した。
 しかも今は、簡単に屈強な兵士たちをのし上げ、こうして脱出を図っているのだ。この厳重警
備の軍の基地から脱出しようというのか。
 しかもそれを、何者かが支援しているのだ。それは一体、何者だというのだ。
「“干渉”をしている連中が何者か分かったか?」
 そう光学画面越しにアーサーは言ったが、かえってくる返事は、申し訳なさそな声だった。
(いえ、まだ判明していません)
「こっちは、やられたい放題だ。いつ、この基地を乗っ取られてもふしぎじゃあないんだぞ」
 そうアーサーは念を押す。
(了解。全力を尽くして…)
 と、情報官は言ってくるが、軍の基地を乗っ取り、徹底的に“干渉”をしてくる事件、いや攻撃
は初めてだった。『N-WNUA』はありとあらゆる手段で、この“干渉”に対しての危機対策をして
きたというのに。この有様だ。
 そしてこの“干渉”をしてきている者達は、ありとあらゆる手段で、北村梓を脱出させようとして
いる。
 アーサーは光学画面を操作しつつも、彼女がいるとされている場所を目指した。
(少佐!たった今、北村梓自身が、娘の保護室を破り、侵入した模様!)
 続け様にやってくるこの状況。何としても頭を回転させて、彼女を捕らえなければならない。
 北村梓は、自分の娘を脱出させた。という事は次に狙ってくるのは夫のほうか。彼女の夫、テ
ィッドは重要参考人として、厳重な拘束室にいる。警備兵達に警備されている状態で、一部の
者にしか侵入が出来ない。
 だがこの状況。彼女がティッドの元へたどり着き、脱出する事も不可能ではない。
 もしくは夫を一旦見捨て、娘だけと脱出するか。
 アーサーは梓がどちらを選択しても良い対策を立てる必要があった。
「この基地から脱出するには、車しか無い。徒歩で脱出しようにも高圧電流の柵を超える必要
があるし、門は厳重だ。この基地内にある全ての車の操作ができないようにしろ」
 それは、軍のジープなどの車が全て、コンピュータによって管理されているからできることだ
った。
「しかし“干渉”されてしまっては、車も容易に動かされます」
 そのようにアーサーの部下の一人が言ってくるが、
「何もしないよりはましだ。それに“干渉”もいつまでも続けられるわけじゃあない。こちら側か
ら、侵入地点を突き止め、遮断すれば何とかなる」
 そうアーサーは言った。
(北村梓の位置は、拘束室側に移動しています。ティッド・シモンズのいる拘束室です)
 と、情報官が言った。それはもう分かりきった事だ。その拘束室前で梓を捕らえればいい。さ
すがに彼女でも、多くの兵士達に囲まれては何も出来ないだろう。

(あなたの旦那さん、今、拘束室にいるけれども、助けだすのは困難よ。この基地の人達も、あ
なたが夫を助けたがっているのはもう気がついているみたいだし、警備がより厳重になってい
る)
 梓の頭の中でヒメコがそう言ってくる。それは梓も分かっている。ここは軍の基地であって、ア
リアを救うだけでも一苦労なのだ。
 このヒメコという人物、一人だけなのだろうか。彼女らの支援がなければ、梓はずっと拘束さ
れたままだっただろう。しかし、どこまで信用してよいものだろうか。
「私には、夫を見捨てることなんて出来ないわ」
 そう梓は言って、アリアを守りながら動き出す。目の中の画面の中に、彼女自身の意志で自
在に動かせるマップ。それを見ながら次の行動を考える。
(でも今、奴らはあなたが夫を助けようとしているだろうと思っている。もちろん、基地の警備は
厳重なままよ。あなたが夫を助けるために行動すれば、もっと脱出が困難になる。わたし達が
支援しようとしても無理)
「ええ、分かっているわ」
 と梓は聞き流すかのように言った。
「ママ、誰と話を…?」
 そう、アリアが心配そうな顔で梓を見上げてくる。この子にとっては、とても不安なことだろう。
見知らぬ地で、母とともに追い詰められているのだから。
「心配いらないわ、アリア。あとできちんと説明するから、絶対にママとはぐれないで。これから
パパを助けに行くの」
「パパは無事なの?」
 アリアはそう言ってくる。心配なのも無理は無いだろう。
「大丈夫よ。あなたは何も心配しないでいいの。みんなでお家に帰るのよ」
 それが子供である彼女を安心させる何よりもの言葉。だが、アリアの不安げな顔は消えなか
った。
 娘がこんなに不安がっているのだ、いつまでも、この頭のなかだけに響いてくる少女の声に
惑わされていてたまるものか。
 梓はアリアを連れて行動し始めた。

「どこにいる?こっちに向かってきているんだな?」
 部下を連れ、せわしなく動くアーサー。家族揃ってこの基地から逃げ出させる訳にはいかな
い。この基地は今、“干渉”の危機に遭っている。しかしながら、その“干渉”に、間違いなく北
村梓も関わっている。これはテロ攻撃なのだ。原因を解明するために、彼女を捕らえる必要が
あるのだ。
 素早く動いたアーサーは、ティッドが囚われている、さっきはもっと落ち着いた気持ちで来れ
たこの場所へとやって来た。
 そして荒々しく、ティッドの拘束されている部屋を開ける。
「な、何だ?一体何をしているんだ、あんた達は?」
 動揺している様子の彼。これも芝居しているのだろうか、どうなのか。
「あんたの奥さんが医療処置室から脱出した。五人怪我をしている。娘さんを連れて脱出を図
っている」
 そうアーサーはティッドの座っているテーブルの眼の前に立ち言っていた。
「そうなのか、こんな目に遭えばそうかもしれないが、勝手に彼女がやったんだから、私は何も
知らない」
 どうやら黙りをするつもりらしい。自分の妻の肉体が改造されているということも含めて知らな
かったというのか。いい加減嘘だ。
「ふざけるなよ、今、この基地は攻撃されているんだ。最新のファイヤーウォールが破られてい
るんだ。いいか?この基地の兵器が無防備になっているも同然だ」
「それが、私の妻と、一体…」
 アーサーはテーブルを回りこみ、ティッドの身体を引き上げるなり、彼の身体を壁へと叩きつ
け、更には、喉元にそのたくましい腕をつきつけるなり言い放つ。
「いいか、この基地を攻撃しているのは何者か知らんが、あんたの奥さんを脱出させる手助け
をしている。それでも知らないというのか?お前はテロリストも同然なんだぞ。テロリストに対し
ては何だってできる。国家の危機、戦争の危機だからな」
 アーサーは迫る。それはもちろん脅し文句ではあったのだが、相手が生半可なテロリストだっ
たらそれが通用する。
 やはり彼らは一般市民に扮しているテロリスト達だったのか?この家にはまだ年端もいかぬ
子供もいたが、だからといって、そうした抜け目ない手口も平然と使うのが彼らだ。
「拷問するのか…?」
 怖気づいたかのようにティッドは言ってくる。しかし、アーサーは手を離した。
「いいや、お前は囮だ。奥さんをここへとおびき寄せるためのな。だから手出しをする必要はな
い。話だったら、後からじっくり聞いてやれる」
 そうアーサーは、本気であるかのような顔をして言うのだった。
 だが、アーサーは理解する。この男は恐らく落ちないだろう。拷問しても無駄だ。洗練された
工作員だとして、その演技は本物だ。
 この男は長年一般人として身を隠している。その目的は何なのかは分からない。敵性戦闘員
と取ることができるのか?だが、この基地を攻撃している人物と関わりはあるだろう。
 よもやこのティッド・シモンズが、妻を逃がすために、何者かと共謀して“干渉”による攻撃を
仕掛けているのか?
 西側の人種だったら、極東系人種よりも幾らでも敵対組織は思い浮かぶ。この『東アトランダ
共和国』での反政府組織を支援し、エネルギー鉱石や貴金属から、莫大な利益を得ている者
達がいることを、アーサーは知っている。
 戦争反対を信条とし、アーサーら『N-WNUA軍』がこの国に駐屯している事に、盲目的に反対
をしている連中も考えられる。だが、ろくに現実も見れないような連中が、基地に“干渉”を仕掛
けられるだろうか。
 考えられるならば、やはり前者だろう。自分達が莫大な利益を得るためならば、戦争を仕向
ける事など、平気でやってのける連中だ。皮肉なことに、そんな汚れたビジネスは、戦乱が広
がれば広がるほど、規模を増していく。
 世界が群雄割拠し、勢力図が細分化されていけば、その分、敵も増える。想像もつかないよ
うなところから、敵は攻めてくる。
 このティッドは、何者だ?
「私は、お前の言葉は信用しない。だから奥さんと娘がここに来たとしても、奥さんを投降せる
ためにはあんたには何だってやる」
 ティッドに対し、アーサーは迫る。この基地の責任は自分の責任だ。それに彼が関与してい
るならば、いかなる手段をも用いる。
「そんな、わたしは何も関係無いというのに。妻や娘にも危害を加えないでくれ」
 怯えきったようにティッドは言ってきた。
 ベテランの軍人に対して同情を誘おうというのか。やってくれる。
 アーサーは乱暴にティッドを後ろに向かせ、その手に手錠を荒々しくかけた。

(どうすんのよ。あんたの今の肉体だったら、数人の鍛えあげられた兵士たちをのし上げること
はできるでしょう。でも、旦那さんを救えるとは思えないわ。それも娘さん、アリアを連れていて
はね?)
 頭の中に響いてくる少女の声、このヒメコの声は何とも皮肉っぽく、生意気だ。しかもそれが
的を射ているから困る。
 梓は、今は大人しくしているアリアを背後に連れながら、軍事基地の中を移動し、拘留室と呼
ばれるところへとやってきていた。ここにティッドは捕らえられているのだという。
「あなたの指図になんて従わない。私がしたいことはただ、元の生活に戻るってことよ。それ以
上、何も望んでいない。あなた達が何を企んでいようと、それは知った事じゃあないわ」
 そう梓はしっかりとした意志を持って言うのだった。変な計画や作戦に巻き込まれるなんて御
免だ。
(では、あなたはわたしに何を期待しているの?)
 と言ってくるヒメコ。
「あなたなら、ティッドを助けて無事に脱出する方法が分かるでしょう?そしてそれを実行に移
す事もできる」
 梓は言った。
(言っておくけど、この軍の警備システムは、世界でもトップクラスのものなのよ。それを外部か
らの“干渉”で一時的にでも麻痺させるのは相当に困難な事なの。さっきあなたを脱出させた
のが精一杯、娘さんを救出させたのは、相当に無理をしていた行為だと思って)
「じゃあ、また無理をすればいいんじゃあない」
 いつ、ここに軍の警備兵が来るかわからない。だから梓は気が気でなかった。娘がそばにい
る以上、動揺した素振りを見せれば彼女に伝わってしまう。しかし内心では一刻も早くここから
脱出したかったのだ。
(わたし達の都合も考えて。あなたを脱出させたのは、わたしが基地に“干渉”したからなのよ。
もしこれ以上ずっと“干渉”し続けていたら、わたし達の居所や正体が分かってしまうわ。そうな
ったら、あなたはもうその基地からは脱出できなくなる)
 とヒメコは言ってくる。
 じゃあどうすればいいのか、ティッドを見捨てて、この場から脱出すればそれで良いというの
か。こんな状況。昨日までは平和に暮らしていた。多少、将来に不安はあったかもしれないけ
れども、家族で平和に暮らしてこれたのに。
 どうしようもない状況に、梓は思わず歯ぎしりをした。
「ママ、ママ。どうしたらいいの?アリアは何をしたら…」
 と言ってくるアリア。これ以上、自分は娘を不安がらせなければならないのか。そうしなけれ
ばならないのか。
「じゃあ、あなた達は、どうするつもりだったの?私だけを脱出させて、それであなた達の計画
はそれでおしまいだったの?それで、私を従わせる事ができるとでも思ったの?」
 梓はそのように口早に言っていた。口に出したのではなく、明確に通信をするという意志を持
って、頭のなかで行ったのだ。いつしか、この通信でヒメコと会話するのも慣れきったものだ。
(いいえ、わたしはあなただけに、脱出計画を実行させたりはしない。すでに、仲間が基地の中
にいるのよ。わざと捕らえられたんだけどね。それに、平和的に脱出させることも可能よ)
「平和的に?」
 そう梓は疑問に思った。
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