レッド・メモリアル Episode07 第3章



《プロタゴラス空軍基地》
4:06A.M.



 対テロ対策の最前線に立っている、『タレス公国軍』《プロタゴラス空軍基地》の対策本部で、
デールズ・マクルエムは頭に巻かれた包帯に触っていた。
 すると、巻かれたばかりの包帯にはまだ血が滲んでいることが分かる。
 何しろ、爆発をほんの寸でのところでかわし、更に2階からダイブしたのだ。無傷で済むはず
がない。
 基地内の医務室で手当てをしてもらうことはできたが、腕と頭に巻かれた包帯は、デールズ
の姿を何とも痛々しい様相にしてしまっていた。
 デールズはリー達からの連絡を待っていたが、先ほどからリー達は通信を切っており、まっ
たく反応がない。
 すでに軍の部隊が彼らのいる《天然ガス供給センター》に向かったということだが、一切の連
絡がついていなかった。
「あなたが、デールズ・マクルエムさん?」
 そんな、どうすることもできずにいたデールズの元に、突然話しかけてくる声があった。
 椅子に座ってうつむいていたデールズだったが、呼ばれてくる声に顔を上げる。
 知らない顔だった。『レッド系』の人種。茶髪に眼鏡をかけているという姿で、あまり体格は大
きくない。
 コンピュータデッキを抱え、セーターとジーンズという姿は、この軍基地にはあまりに相応しく
なかった。
 ただのコンピュータオタクにしか見えない。
「あなたは?」
 デールズは女を特に不審には思わなかった。このテロ対策本部には、いくつものセキュリティ
を潜り抜けなければたどり着けない。
 少しでも怪しい人物だったら、この場所に足を踏み入れることなどできないからだ。だから、
普段人に振る舞うような、警戒心を誘わない口調でたずねていた。
「わたしは、フェイリン・シャオラン。電話でお話したでしょう?セリアの知り合いですよ。この基
地で分析官をしていた経験もあります」
 と、人懐っこい顔で彼女は言ってきた。
「ああ、あなたがあの」
 フェイリンとデールズは、ほんの一時間前に電話で話したばかりだった。
 対面する2人の背後から、ゴードン将軍が姿を見せた。どうやら彼がフェイリンをここまで連
れてきたようだ。
「マクルエム。彼女とともに、『グリーン・カバー』と『チェルノ財団』との関係について探れ。どう
やら彼女は『グリーン・カバー』が陰で行ってきたことに関する調査は、われわれよりも数段先
をいっているようだからな」
 だがデールズは、
「しかし、トルーマン少佐の方は?連絡がつかないのでしょう?」
 と反論する。
「ああ、全く連絡がつかん。だったら、連絡がつくまでお前は別の方面から探るべきだ。私はリ
ーの奴の背後から向かっている部隊の作戦指揮を執る。お前は、『グリーン・カバー』を洗って
いろ。いいか?命令だぞ」
 ゴードンはそれだけはっきり言うと、すぐに自分のオフィスへと向かってしまった。
「どうやら、焦っているらしいわね。あの人」
 と、フェイリンが何年もの付き合いをしてきているかのような声で、デールズに言った。
「ああ、焦っているとも。何せ今は緊急事態なんだからな。それはさておき、早く見せてくれない
か?『グリーン・カバー』の情報という奴をさ」
 デールズの方も、まるでパートナーに向かって言うかのような口調でそう尋ねていた。



《プロタゴラス郊外》
《天然ガス供給センター》



 一方そのころ、《天然ガス供給センター》にいたセリア・ルーウェンスは、重要参考人であるジ
ョニー・ウォーデンを保護するべく、奮闘をしていた。
 目の前に向けられた銃口より発射された銃弾は、セリアの顔ギリギリのところをかすめてい
く。
 彼女は目の前の配管の出口から突然現れた銃口に、とっさの反応をしていたのだ。
 配管の出口からは、人の手だけが出て、銃を握っている。どうしたらこんな事ができるのだろ
う。
 配管の出口などものの10センチほどしかないのに、そこから手だけが出ているのだ。
 手は意思を持ち、銃を握っている。そして、セリアに向かって正確に引き金を引いていた。
「セリア。そいつは、自分自身の肉体を気体、つまりガスにすることができる『能力』を持ってい
やがるんだ!」
 ジョニーが叫んだ。彼はセリアの背後にまるで彼女を盾にするかのようにして立っている。
 セリアはジョニーの叫び声に答えるかのようにして、手が突き出しているパイプへと、素早く
蹴りを入れた。
 パイプは鉄製で頑丈に作られていたが、彼女が蹴りを入れれば、つぶれたようにひしゃげ、
パイプの口から突き出していた銃はあさっての方向に弾丸を発射した。
「そのくらい分かっているわよ!ジョニー!急ぎなさい!」
 と言って、セリアはジョニーの腕を掴むと、施設内のパイプ群の中を走り始めた。ジョニー達
の会話は、セリアがさっき集音装置を使って全て聴いていたのだから。
 今は使われていないガスパイプを使うことによって、自分達へと攻撃を仕掛けてくるスペンサ
ーは、セリアにとってもジョニーにとっても脅威だった。
 この建物内には無数のパイプが入り乱れていて、どこにスペンサーが潜んでいるか分からな
い。
 銃弾くらいだったら、セリアの『能力』でかわす事もできたのだが、それは相手が銃を向けて
いるとはっきりと分かっている状態でないとできない。
 突然背後から発砲されても、それはセリアにとっては防ぎようもなかった。
 ジョニーが背後から攻撃されることがあるならば、セリアは防ぎきれるか分からない。
「ジョニー、こっちよ!」
 セリアは何としてでもこの場から逃げることを最優先としていた。施設の窓を見つけると、
 彼女はそこから、ジョニーの体を放り出すように外へと投げ出す。
 古びた窓ガラスを突き破り、ジョニーの体は建物から外へと飛び出していく。セリアもそれに
続いて、ジョニーの体を外へと飛び出させるのだった。
 顔から窓ガラスへと突っ込んだジョニーは、顔中を血だらけにしてしまっていた。
「おい、セリア!てめーなんてことをしやがるんだ。手荒に扱うんじゃあねえ!」
 ジョニーは顔を押えてセリアに言い放った。だが、次の瞬間、ジョニーは胸倉を掴まれてその
体を引き上げられた。
「あんたは証人だけれども、同時に犯罪者なのよ。わたしがどう扱おうがそれはわたしの勝手
よ。でも、あんたがわたしに付いてこなければ、どうせ死ぬだけだわ」
 と言うとセリアはジョニーの体を離した。
「てめー。あまり手荒に扱いすぎると、オレの弁護士が黙っちゃあいないぜ」
「言っていなさい。それよりもここから早く脱出しないと危ないわ。ついてきなさい!ジョニー!」
 とセリアはジョニーに言い放ち、彼を連れて、供給センター内を駆け始めた。



 ブレイン・ウォッシャーは、軍の人間達がやってくるよりも前に、天然ガス供給センターの敷地
内から脱出し、センターの全体像を望むことができる高台へとやってきていた。
 ブレイン・ウォッシャーが運転した車は、高台に設置されている駐車場までやってくると停車
し、彼女はすぐに車を降りた。
 駐車場の照明は点灯していたが、彼女はなるべく照明が当たらない場所に黒塗りの車を停
車させる。
 これで目立たない。
 もうすぐ夜明けだが、今は最も暗い時間帯だ。
 ブレイン・ウォッシャーが車から降りると、彼女の聾人用の意思相通をはかる装置が反応し、
彼女の眼の前の画面に文字を並べた。
「おいオレだ。やっと来たか、いい加減待ちくたびれたぜ」
 と、その装置には文字が並んでいた。
 ブレイン・ウォッシャーは背後を振り向く。彼女は聾だったから、背後にいきなり立たれてもそ
れを感づくことができない。
 そんな聾である人々の不安を解消するという意味でも、聾人用の装置は機能を持っている。
装置自体は非常に小さく、電話機ほどの大きさしかない。今、それはブレイン・ウォッシャーの
着ているスーツの内ポケットにあった。
 だがこれにはセンサーも付いているほか、空間に画面を表示する機能もあり、一台で何役も
務めてくれるのだ。
 ブレイン・ウォッシャーは口を動かした。するとセンサーが彼女の口の動きを読み取っていく。
 ブレイン・ウォッシャーの手の上のあたりに画面が現れ、彼女の話した言葉が表示された。
彼女が手を挙げれば、その文字が付いてきて、相手にとっても見やすい位置に表示されるよう
になっていた。
 画面には、「ごめんなさい。邪魔が入ってしまったの」と表示されていた。
 相手の男が照明も当たらない影の中から話してくる。
「おう、そうか。だがな、あの方は急げとの命令だぜ。もう時間が無いから、だってな。そこで、
さっさとオレ達だけで行動をするようにと命令が下った」
 相手の男の話した言葉を、装置の画面から読み取ったブレイン・ウォッシャーは、彼の乱暴
な口調をも同時に理解していた。
 彼女は口を動かし、自分の意思を相手へと伝える。
「わたしもそう思っていた。彼の命令に従い、すぐにも行動したいと思っている」
 と、相手側の画面には表示された。
「オレに与えられた命令の一つだ。スペンサーはもういらないだとな。あの方は用済みだからと
言って、自分の部下を手に掛けたりはしないが、裏切られと判断した時は話は違うぜ」
 相手の男が呟き、その内容が画面へと流れる。
 相手の男の言葉の意味を知ったブレイン・ウォッシャーは少なからず動揺していた。
 だが動揺を相手に見せてしまってはいけない。聾だと相手の表情からも深く心情を読み取ろ
うとする。その分、ブレイン・ウォッシャーは自分でも自分の顔に現れる表情には敏感だった。
「彼を始末する必要が?」
 若干だが震える口をブレイン・ウォッシャーは動かした。その程度の震えなら、コミュニケーシ
ョン装置はきちんと判断して文字を並べることができる。
「ああ、われわれの計画とやらに大きな障害になりそうだってんでな。もしスペンサーの奴が軍
にでも捕らえられることになってみろ。オレ達の計画をしゃべって司法取引なんぞされてみろ。
あいつは口を割るタイプだからな。あっという間にオレ達の計画はパーだ。そんなことになって
もらっちゃあ、まったく困るんでな」
 相手の男の言う言葉は正しい。ブレイン・ウォッシャーにはそれははっきりと分かっていた。
 スペンサーが今後の計画の障害になるだろうという事も、もちろん分かっている。
「安心しろ。奴の始末はオレが付けておく。お前はただ黙って見ていればそれでいい」
 男はそのように言うなり、ブレイン・ウォッシャーが乗ってきた車へと乗り込んでエンジンをか
けた。
 どうやら男はこれから自分がスペンサーのもとへと行き、始末をするつもりらしい。
 ブレイン・ウォッシャーは段取りを知っていたから、男に車を譲り、自分は男が乗ってきた車
へと乗り込むのだった。
 ブレイン・ウォッシャーにとっては、パートナーとしてつき従い、『グリーン・カバー』にも取り入
る事ができたスペンサーだったが、現在の状況を考えれば仕方がない。そう思うしかなかっ
た。
 彼を切り捨てて、計画を更に進めることができるのなら、それはブレイン・ウォッシャーにとっ
ても本意だったのだ。



 窓から建物を飛び出したセリアは、ジョニーを引き連れ、建物から離れていた。
 どこからスペンサーが迫ってくるか分からない。彼は自分とジョニーの暗殺を狙っている。お
そらく自分よりもジョニーの方が優先して狙われるだろう。
 だからセリアは、ジョニーを身を呈してでも守りきらなければならなかった。
 スペンサーはジョニーが捕まる事によって、重大な何かが軍へと漏れることを警戒し、このよ
うな行動に移っている。
 つまりジョニーは、今起こっているテロ事件や『グリーン・カバー』と謎の組織との関係につい
て、確かな情報を知っているのだ。
 セリアは突然、ジョニーの胸倉を掴んで言い放った。
「ジョニー!あんたはなぜ狙われているの?ただいつもながらに武器弾薬を国外へと密売した
から?いいえ、そんないつもの事で、命を狙われるようなドジをあなたはしないわよね?
 あなたは、いつもとは違う事をしてしまったから狙われているのね?あのスペンサーとかいう
奴と、一体、どんな取引をしたのよ!」
 ジョニーはセリアよりもずっと大柄だったが、セリアの力で掴まれると、大の男の彼でも身動
きが取れなくなってしまう。
 セリアの肉体を、彼女の体内に流れている『力』が、活性化させ常人を上回る筋力を出させ
ているためだ。
「い、言えるかよ。大体、セリア。てめーらの軍って奴らは、オレ達の事は全て把握済みだろ
う?だからオレを捕らえに来たんじゃあねえのか?」
 とジョニーは言ってくる。だがセリアは彼の答えにも応じず、さらに胸倉を強くつかむのだっ
た。
「知らないから、捜査をしているんじゃあない!もしあんたのしている事をとっくに知っているん
だったら、あんたもスペンサーとかいう奴も、皆殺しにしてやっているわ」
 セリアが言い放った凶暴な言葉。
 ジョニーは怖気づく事はなかったものの、動揺は隠せなかった。
「て、てめー本当に軍人なのかよ?」
 と尋ねざるを得ない。それだけ凶暴な言葉のようにジョニーには聞こえていた。
「ええ、でも今は臨時なんだけれどもね。さあ、さっさと答えなさい。あのスペンサーとかいう奴
がここに来るまでにね!」
 セリアはジョニーに顔を接近させて言い放った。するとさすがに彼も観念したのか、思い口を
開くかのように答えた。
「オレだ」
「はあ?真面目に答えなさい!」
 セリアはジョニーの胸倉を更に強い力で締め付けた。
「だから、答えただろう!オレなんだよ!今回取引するブツはな!」
 ジョニーの言葉がガス供給センターの敷地に響き渡った。
「あんたが、自分を奴隷売買するなんて思えないけれどもね。それとも、いわゆる傭兵稼業で
も始めたのかしら?」
 セリアはジョニーの目をのぞき込み、彼の眼が揺らいでいないことから、それが真実であると
悟った。
「どっちかっつうと、後の方が近いな。奴らが望んでいるのは、多分『能力者』の傭兵のようなも
んだろう。だが、奴らは専属の兵士を望んでいる。
 あのスペンサーとかいう奴も同類さ」
「スペンサーをはじめとする『グリーン・カバー』は、『能力者』を集めて、軍隊を作りたかった。
そういうことなのね」
 とセリアは一人でまとめようとするが、
「いいや違うぜセリア。軍を作ろうとしているのは、『グリーン・カバー』じゃあねえ。奴らはただ
の仲介業者でしかない。本当に軍隊を作ろうとしているのは」
「『チェルノ財団』?」
 ジョニーの言葉を遮り、セリアは声を上げた。
「あ、ああ、そうさ」
 ジョニーは認めたくもないという様子でセリアから目線を外してそう言った。
「『ジュール連邦』の巨大財団法人ね。民間団体が、何故軍隊が必要なのか分からないけれど
も、これで手掛かりにはなる」
 と言うなり、セリアは携帯電話を取り出し、登録している番号をプッシュするのだった。
 電話の相手はすぐに呼び出し口に出てきた。
「もしもし、将軍?たった今、ジョニー・ウォーデンを保護し、彼から『チェルノ財団』が『能力者』
の軍隊を結成しようとしている。との情報を得ました」
 セリアはすかさず電話口に出たゴードン将軍へと事を告げる。
(『チェルノ財団』が、だと。だが、『グリーン・カバー』は?一体どうなっているんだ?『チェルノ財
団』と『グリーン・カバー』の間では、今までの間に、何兆という額の取引が行われているんだ
ぞ)
 ゴードンは即座に状況が呑み込めたらしく、セリアに言ってきた。
「『グリーン・カバー』は仲介業者でしかないようですよ。おそらくその取引額も、『能力者』の受
け渡しに使われている」
(だが、何故だ?何故、『ジュール連邦』の、それも民間団体が兵士を欲しがるのだ?『チェル
ノ財団はただび慈善団体だ。とても軍部に『能力者』を提供しているとは思えんぞ)
 と、ゴードンが言ってきたので、セリアは更にジョニーに尋ねた。
「ねえ!何故、『チェルノ財団』は『能力者』を欲しがっているの?答えなさい!」
「それ以上は、オレにも答えられねえ!」
 ジョニーが言い放つ。
「後できちんと答えてもらうことになるのよ!今、答えなさい!ジョニー!」
「それだけは答えられねえぜ!」
 ジョニーの声が再び響き渡った。
「もしオレがその事についてまで答えちまったら、オレはもう用済みだろう?価値がなくなってい
まう。それに、あれもできなくなるよなあ?司法取引って奴さ」
 ジョニーの顔がにやついている。自分の命が狙われると知っていて、動揺を隠せないが、ど
こか不敵な自信が彼には残っているようだった。
「ふん」
 と、ジョニーは言うと、乱れた自分の上着を直し、セリアとともに、ガス供給センターの出口を
目指す。
 ガス供給センターは現在でもその駆動を続けており、うねりを上げながらガスタンクを稼働さ
せていた。
「スペンサーの奴は一体どうした?ここまで逃げてきて追ってこないのか?」
 と、ジョニーは言ってくる。だがセリアは、
「知らないわよ、いちいち私に聞かない事ね」
 ジョニーに対してはぶっきらぼうに答えたセリアだったが、警戒をしていないわけではない。
周囲を見回し、何者か迫ってきていないかどうかをしっかりと把握する。
 ガス供給センターの作業員もここでは作業をしていないらしく、警備員の姿も見ることはでき
ない。
 セリア達がいるのは、ちょうどガスタンクの真下の位置だった。
「セリア、あいつは気体になる事ができる『能力』を持っていやがるんだぜ。もし空気のような姿
になれるんだったら、オレ達には見る事も触る事も出来ないんじゃあねえのか?」
「ええ、そうね。そのくらいの事は分かっているわよ」
 セリアは周囲を見回したが、誰かが迫ってきているという気配は変わらずない。
「セリアよォ、スペンサーの奴は、まずオレを逃がすとは思えない。まず間違いなくオレ達を追
ってきているはずなんだ」
「ええ、そうね。分かっているわよ」
 ジョニーと背中合わせになりながらセリアは答えた。
「今は共闘する必要があるようだぜ。この雰囲気。もしかしたら、ガスパイプに周囲を囲まれて
いる時よりも、見通しのよいこの場所の方が奴にとってはオレ達を狙いやすいんじゃあねえの
か?」
 とジョニー。だが苛立ったようにセリアは言い放った。
「分かっている!いい?あんたはどうせ何もできやしない。ここは私に任せておきなさい!あん
たは戦う事じゃあなくって、逃げることを考えていれば良いのよ!」
 セリアは言い放つ。するとジョニーは、
「おうそうかよ。だがな、奴がオレ達をそのまま逃がしてくれるとは思えないぜ。戦ってぶっ殺さ
なきゃあ、多分、この場所から逃げることなんてできやしねえ」
 と彼が言った時だった。突然、空気を切り裂くような音が響き渡り、ジョニーの肩を貫いていっ
た。
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